全社利用達成への道(2021年4月掲載)
そう、データ移行です。
今まで培ってきたデータを新しいシステムに入れて行かなければなりません。歴史があればあるほど大量に存在する資料や図面。これを今までのシステムから取り出し、新しいシステムに導入する。
実際に移行する日は感慨深いものです。何しろ、データ移行をするという事は、新たなシステムに記憶を映すようなもので、逆に言えば今までのシステムがそこで止まる事を意味します。これからは、新しいシステムで作業しないと成り立たなくなる。後戻りできません。
もちろん、検討を繰り返しテストもして万全を期しますが、もし、失敗したらデータ紛失したら・・胃も痛くなりますが腹をくくるしかありません。
大量のデータです。そりゃ問題も起こります。襲い来るエラーを一つ一つ確認して行きます。大抵は、前システムの頃からの不具合が、そのまま移行されたというのが多かったです。確認を取り、正しいデータになる様に調整して行きます。システム移行の今だからできる技です。
データ移行は、影響の少ない古いデータから順に入れはじめ、現行運用中のデータは休日に一気に流し込みます。データ移行完了、運用テストも完了。週明けから、技術部内本番稼働です。週明けからの問合せに対応するため出社しなければなりません。ふと思うはずです。
「私は、
いつ、
休めるのか?」
その時、あなたを守ってくれるのは、各部からピックアップしたキーマンのみなさんです。事前に知識をもち、コンセプトを理解してくれているので、ある程度の問合せをブロックしてくれます。キーマンでもわからないことをピックアップして処理する役割分担と連携で乗り越えます。
今までの操作と違うので、混乱はあります。しかし、ユーザは何時か使い慣れてくれます。これはどんなに面倒なシステムでも、それしか無ければ使うしかありません。システム導入の際に、旧システムとの並行運用はお勧めできない理由です。私の場合は、旧システムは強制的に終了になってしまうので、使ってもらうほかありませんでした。
時間と共に、少しずつ混乱も収まってきますが、それでも問い合わせは続いて来ます。予想すらしていなかった問題も出てきます。使いづらい、わかりにくい、遅い・・・問題点に対しては、設定の追加、ソフトウェアの改修、ハードウェア増強・・・立上げ後も色々対処しましたが、厳しい状況か続きました。そんな時、「問題があるならはっきり言ってこい!ただし、良くなったら良くなったと報告しろ!」と本部長が声を上げてくれました。
それ以降、状況は変わり、運用が浸透して行きます。もちろん、文句は来ます。でも、システムをどう使うか?という話が前提になりました。
ユーザ登録のためのルールを作り、申請書を作りマニュアル化して提携業務として処理できる様にしていきます。
新たな運用ルール、BOMの展開、バタバタとした日々を過ごすうちに、ハタと気付くと、技術部門だけでなく、全社からアクセスされる様になっていました。
図面は一日で数百枚以上更新され、
取り出される図面は数千枚、
定期巡回に行くと、多くPCにFullWEBが表示され
うれしくなります。
それと同時に、
「ああ、もう自分のシステムでは無いのだなぁ・・・」
と、一人感傷に浸っていました。